工作>MMCXケーブル自作
はじめに
音質向上を狙い, イヤホンのリケーブルを行います. 今回は安上がりにさせるため, 自作することとしました.
私が使っているイヤホンはJVCのFX850です. このケーブルはFX850以外にも, SHUREのSEシリーズ, UE900, UE900s などで利用できると思います.
当ページでは, HPC-26T(102SSC)を利用したケーブルと, HPC-23T(PCOCC-A)を利用した2点の作例を紹介します.
工具
以下の工具類が必要です
- はんだこて
- カッターナイフ
- ニッパー
- はんだ
- 接着剤
接着剤はプラスチック部品接着で使う瞬間接着剤を利用します. また木工用ボンドがあると良いです.
以下の工具があると便利です
- ワイヤーストリッパー
- ピンセット
HPC-26T(102SSC)を利用した作例
2015年になって話題になってる102SSCを利用したケーブルです. PCOCC-AのHPC-26Tは過去に別の自作で利用したことありましたが, 今回はリニューアルして102SSCとなった(HPC-26T V2)こちらを試すということで揃えてみました.
比較的線が細いため作業がしやすく, 取り回しも良いです. 音のバランス良くて評判どおり納得の音質でした. この記事の後半にあるHPC-23Tよりもおすすめです.
部品
名称 | 型番 | メーカー | 販売店 | 価格 |
---|---|---|---|---|
ケーブル | HPC-26T | オヤイデ | オヤイデ | 518円/m |
プラグ | P-3.5G | オヤイデ | 690円 | |
ブーツ | カラーブーツミニ | アンフェノール | 65円 | |
MMCXコネクタ | MMCXキット | オヤイデ | 1512円 |
1.2m製作時の参考価格: 2889円
※補足
- 利用したケーブル長さは1.2mです. 購入時は最低2m必要ですが, 私は2本作れるようにと3m購入しました.
- ケーブル色は赤, MMCXコネクタのカバー色は黒を選択しました.
- プラグはストレート型を選択しました. L型のもの も選択可能です.
- 価格表示は2015年5月現在の税込価格です.
3.5mmプラグ部
3.5mmステレオプラグを取り付けます.
※今回は 左音声:白 右音声:青 としました.
分岐部
分岐部の加工です. オヤイデで販売されていたMMCXキットの中に分岐パーツが入っていたので, 利用します.
当初, 分岐部のパーツが大きいかなぁと思っていましたが, そうでもなかったです. また, この時点でスライダーのパーツを取り付けますが, 穴が小さかったためΦ2.5のドリルで拡張しました.
分岐部パーツはオヤイデ電気で こんなやつ も販売していました. 大きさや形状が気に入らない場合はこちらも選択肢としては有りかもしれませんね.
MMCXコネクタ部
MMCXコネクタを取り付けます.
MMCXコネクタは木工用ボンドで補強した上で, カバーを瞬間接着剤で固定しました. ただ, カバーにL/R表記がなかったので, 判別ができるよう, L側には油性ペンで印をつけました.
そして完成です.
HPC-23T(PCOCC-A)を利用した作例
オヤイデ電気のPCOCC-A線材を利用したケーブルです. 太いケーブルで豊かな低音とパワーが感じられます.しかし, 作業が難しかったり取り回しが悪いという欠点があります.
PCOCC-Aは生産終了となっており, 近く手に入らなくなるかもしれません. さらにHPC-26Tのケーブルのほうが作業的にも音質的にも優秀であると判断しました. 私からは上の方法を利用することをおすすめします.
利用部品
名称 | 型番 | メーカー | 販売店 | 価格 |
---|---|---|---|---|
ケーブル | HPC-23T | オヤイデ | オヤイデ | 650円/m |
プラグ | P-3.5G | オヤイデ | e☆イヤホン | 690円 |
ブーツ | カラーブーツミニ | アンフェノール | オヤイデ | 65円 |
MMCXコネクタ | MMCXキット | NOBUNAGA Labs | e☆イヤホン | 1310円 |
- HPC-23T(TPE)
- OYAIDE 3.5mmステレオミニプラグ型(ハンダ付けタイプ) P-3.5G
- アンフェノール製カラーブーツミニ
- MMCX用コネクターキット DIYケーブル パーツ (Black)
余談ですが, オヤイデの店舗で店舗限定品という状態でMMCXのキット(今回購入品と同じようなもの)が販売されていました. 価格は税抜1400円でした.
MMCXキットにはMMCXプラグ・外装の他に分岐部のパーツが付属します. ケーブル外形2.0-2.5mmくらいが想定のようです. (HPC-23Tは2.5mm並行ケーブルです)
プラグとカラーブーツミニをあわせることによってがたつきを防止します.
3.5mmプラグ側
ケーブルに各パーツを取り付けていきます. ケーブルは2mを購入しましたが, 購入時にたまたまロールが終わるところで, おまけということで2m半ほどいただきました. そのため, 半分に切って今後も何かしらに使えるようにとしました.
FX850は約1.3mのケーブルが付属してきますが, 少し短く1m20cm弱となります. ズボンのポケットからは届きます.
ブーツをはめるのがとても固いですが, ハマればガッチリ固定されます.
続いて, 外装を剥いでいきます. TPEという素材のようですが, 伸びて切れにくい材質なので, カッターナイフで円周に切れ込みを入れてからワイヤーストリッパーを利用して行うと比較的綺麗にできます.
フジ矢 プロテックワイヤーストリッパ A型 NO.PP313A-165
ケーブルは4本の信号から成り立っています. このうちGNDに割り当てるむき出しの導線を撚ります.
今回, ケーブルの色を
- 白:左
- 青:右
としました. (RCAケーブルの白が左なので, それに合わせた形です. 間違えなければ逆でも構いません)
適切な長さにカットして(今回白を左に割り当てました. オヤイデ-P-3.5G に詳しく説明がありますが, 左(L)は写真で言う下側にあたるため, 白色のケーブルが短くカットされます) ワイヤーストリッパーがあると便利です.
フジ矢 プロテックワイヤーストリッパ B型 NO.PP313B-165
分岐
分岐部は付属のパーツを利用しますが, 今回太いケーブルを利用したため, そのままでは入りませんでした. ドリルを利用して穴を拡張していきます. ケーブルの分岐点はFX850純正ケーブルに準拠させました.
穴の大きさに注意し, 仮組みができたら瞬間接着剤で固定. はみ出しに注意です.
MMCX側
半乾きのうちに(完全に乾いてしまうと, 木工用ボンドが固まって悪さをする可能性あり), 瞬間接着剤でもう片方の蓋を固定します. 作業は以上.
完成画像
MMCXキットは少し高でしたが, 下手に熱収縮チューブ(シュリンクチューブ)などを利用してやるよりはるかに見た目の良い物ができました.
部品選定について
今回, 私は2つの作例でMMCXコネクタキットに
- オヤイデ電気のもの
- Nobunaga Labsのもの
の2点を利用しました. 結論から言うと, オヤイデ電気のものが良いです. Nobunaga Labsのものはあまり精度が良くないためか, 片方は固くて片方は緩いという事が発生していました. 緩いと使用中外れてイヤホンを紛失する可能性があるので困ります. 製品個体差があるとは思いますが, オヤイデのものは2キット買って計4個のMMCXコネクタすべてがちょうど良い硬さで「パチッ」と止まったので, 安心して利用できると思いました.
また, 3.5mmプラグはどちらの作例でも オヤイデ電気のP-3.5G を利用しました. この他に選択するならば, 高級ヘッドフォンでの採用例がある NEUTRIKのNTP-3RC も良いのではないかと思います.